迷う保護者に、セラピストができること。信頼関係を深める3つの寄り添い方

こんにちは。主宰の西村です。

さて、療育の現場では、保護者から明確な答えを求められる場面が多くあります。

「この子への関わり方を知りたい」
「進路についてどう考えればよいか教えてほしい」
「今の支援で本当に伸びていくのか不安がある」

そんな言葉に向き合うたび、セラピストとしての責任と重みを感じるのではないでしょうか。

でも、子どもの発達には「完全な正解」はありません。

だからこそ、保護者の方にどんな距離感で、どのように答えるべきかを迷うこともあると思います。


そのような時、私自身が大切にしている考え方がありますので、ご紹介します。

なぜ保護者は「答え」を求めるのか

保護者は、日々子どもと向き合い、先の見えない不安を抱えながら過ごしています。

  • 何が正しいのか分からない
  • 家庭でどう関わればよいのか判断に迷う
  • 他の子との差が見えるたび心が揺れる
  • 周囲に相談できる人が限られている

「答えを教えてほしい」という言葉の裏には、「安心したい」「我が子に期待したい」という切実な願いが隠れていることが多々あります。

セラピストが心がけたい3つの寄り添い方

こんな時、セラピストとして、どのような立ち位置でいるべきなのか、どのように心がけるべきなのかについてご紹介します。

① まずはその気持を尊重する

専門的な説明に入る前に、まず保護者の気持ちを丁寧に受けとめることを心がけましょう。

先が見えない時、人は説明より安心を求めます。

「まず気持ちを受け取る」という姿勢は、実は最も答えに近づく最短の方法でもあります。

② 「正解」よりも「向かうべき先」を示す

発達は千差万別です。必ずしもこうなる、というものはありません。


とは言うものの、現状の評価や子どもの特性から見えてくる方向性は必ずあります。

それをしっかりと提示してあげることが大事です。

  • 今どんな力が育っているのか
  • どの点を整えると次のステップにつながるのか
  • 家庭では何を優先すると良いのか

保護者の方にとって、「子どもの未来がまったく見えない状態」というのが、どんどん不安を大きくしていきます。

だからこそセラピストが「この方向性なら、一歩ずつ進める」という見通しを示すだけで、保護者の方の安心感は大きく変わります。

③ 選択肢を並べた上で、決定はご家庭に委ねる

セラピストが答えを決める立場になりすぎると、ご家庭の主体性が弱くなりがちです。

主体性とは、「決める力」です。これを私は「決定の自立」と呼んでいます。


例えばご家庭での取り組み方法について、A案、B案を提示し、それぞれのメリットやリスクを整理した上で、「どちらがご家庭で実践できそうか」を一緒に検討する時間をつくることが大切です。

保護者が自分で選択したものであれば、納得感が高く、継続しやすく、結果として子どもの成長にも良い影響を与えます。

避けたほうがいい対応

強い口調で断定することや、専門用語だけを並べる説明は、保護者の不安をかえって増幅させることがあります。

また、「様子を見ましょう」で会話を終えてしまうと、「結局どうしたらいいのか分からない」という感覚だけが残ります。


様子を見るという選択肢を提案する場合は、「いつまで」「どのような状況になるまで」「どうなったらすぐに相談するべきか」などもセットで伝えると安心感を与えることにつながります。

答えを教えるではなく、伴走する

私が運営している児童発達支援事業所「発達支援ゆず」では、保護者支援に7割のエネルギーを割くというテーマで療育実践を行っています。

その保護者支援において、最も大切にしているのが、「伴走する」ことです。


保護者が求めているのは「正解」ではなく、「子どもの未来に希望が持てること」です。

だからこそセラピストに求められている役割は、正しい答えを提示することではなく、「いろいろな方向があることを示し、保護者の方の決定の自立の力が育つまで伴走すること」です。

その積み重ねこそが、保護者の安心を育て、子どもの成長につながっていきます。


これが、保護者支援のコツであり、信頼されるセラピストの証でもあります。

セラピスト単発相談のご案内

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