
療育や発達支援の現場で大切なのは、「この子は何ができないか」を探すことではなく、「どんなふうに世界を見ているのか」を理解すること。
そのために欠かせないのが、「観察力」です。
大切なのは、行動の「背景」を見ようとする姿勢
発達障害のある子どもたちは、まわりから見ると「落ち着きがない」「指示が通りにくい」「こだわりが強い」と見えることがあります。
でも、その行動の裏には、感覚の感じ方の違い、理解の仕方の違い、不安や疲れやすさなど、さまざまな理由が隠れています。
たとえば、
- 席を立って歩き回る → 座っていると体がムズムズしてしまう
- 話しかけても返事がない → 聞こえているけれど、理解に時間がかかっている
- 同じことを何度も聞く → 不安を安心に変えたい気持ちが強い
表面だけを見ると“問題行動”に見えることも、背景を知ると、その子なりの表現であることが多いのです。
観察力とは、行動の奥にある理由を想像しようとする力とも言えます。
「見る」と「観察する」はちがう
単に「見る」だけでは、その瞬間の動きしか分かりません。
でも「観察する」とは、その行動の前後・きっかけ・環境・人との関係を含めて捉えること。
たとえば、子どもが突然泣き出したときに、「なぜ泣いたか」だけでなく、
- 直前にどんな音がしたか
- 誰が近くにいたか
- 表情や姿勢がどう変わったか
を観察すると、その子の“感じ方の理由”が少しずつ見えてきます。
観察の積み重ねによって、支援の精度は大きく変わります。
焦らず、丁寧に“その子のサイン”を読み取ることが大切です。
観察力を育てる3つのポイント
- 「気になる行動」を記録してみる
できるだけ具体的に、時間・状況・相手・その後の様子をメモ→ あとでパターンが見えてくることがあります。 - 「できていること」にも目を向ける
問題だけでなく、“落ち着いている時”“集中できている時”の環境も観察→ 安定のヒントは、うまくいっている場面に隠れています。 - 一人で決めつけない
観察した内容を、他の支援者・保護者と共有する→ “複数の視点”で見直すと、新たな気づきが生まれます。
観察は「支援のスタートライン」
発達障害のある子どもたちにとって、“理解してもらえる”ことは、大きな安心感につながります。
観察によって子どもの特徴を知り、「この子はこう感じているんだ」と理解できたとき、支援の方向性がはっきり見えてきます。
観察力は、特別なスキルではありません。
日々の関わりの中で、「なんでだろう?」と小さな疑問を持ち続けることから育ちます。

